黒死館殺人事件(12)・了
2024年01月17日 (水) | 編集 |
第八篇 降矢木家の壊崩

「黒死館殺人事件」は、現在「青空文庫」で
読むことができます。
1935年刊行の作品なので、2024年の今、
既に著作権が消滅しているんですね。

それもあって、今回読んでいきながら
あらすじや感想を細かく書くことも構わないだろうと、
引用もたくさんしながら書いてきました。

第八篇が、この作品の最後の章です。
そこへさしかかって、さすがにこの章に関しては、
細かく筋を追って書いていくのはやめようと思います。
ミステリ作品の「ネタバレ」は、
やっぱり、してはいけないことだと思うので。

これまでのところにも、都度、トリックの解明パートが
ありましたが、ミステリといえば「どんでん返し」で
今までの情報がひっくり返らないとも限らないので、
これから読む方も、楽しめると思います。
特にこの最終章はいろんなことが起こりましたので!

ネタバレと関係ない部分で、全体的な感想や
まとめを書いていこうと思います。

「三大奇書」は「アンチ・ミステリ」と言われることがあり、
私もそのつもりで読み始めたのですが、なかなかどうして
しっかりミステリしていたように思います。

いわくつきの館、奇矯な家人、遺言、連続殺人、蘇る死人?
と、読んでみればミステリ好きが大好きなモチーフが
いっぱいでしたからね。

でも軽く調べると本書を「本筋と含蓄の主客転倒」と
評す一文があって、
これは本当に本質をついた表現だなと思いました。
そこが一番の特徴ですね。

何回にもわたって筋を書きとめてきたけれど、
こうまでしないとストーリーの流れが把握できないほど
装飾が多いって、たしかに異常w

途中で法水に「ちょっと黙っててくれないかな」と
思っちゃったことありますからね。
まぁ次第にそれが彼の捜査のやり方だし、彼は真摯に
謎に取り組んでいるわけで、彼の魅力も分かってきます。

というか、後半は蘊蓄の多さにももう慣れてきて、
法水の活躍を楽しめるようになっていました。
読んでは戻り、戻っては調べ、調べてはまとめ、
理解して次へ、というサイクルでやっていましたが、
最後の方はまとめるより先に続き読みたいな!って
思うくらいでした。

今ちょっとだけ調べたら、法水麟太郎はこの作品だけでなく
他にも出演している作品があるみたいですね。
「黒死館殺人事件」の書き出しも、

「聖アレキセイ寺院の殺人事件に法水が解決を公表
しなかったので、そろそろ迷宮入りの噂が立ち始めた
十日目のこと――」

と、他の事件のことがほのめかされているんです。
これらも読んでみたくなっちゃいましたよね。
探偵役として、充分に魅力のあるキャラクタです。
「法水麟太郎短編集」、文スト版でまた発売されたら
いいのにな!

   *

文章そのものについても、読めない漢字や知らない言葉が
ほんとにちょくちょくありました。

然し(しかし)、愈々(いよいよ)、夫々(それぞれ)

なんかは、最近では普通ひらがなで書かれるから、
漢字で書かれていると「なんて読むんだっけ!?」って
なっちゃいます。

剔抉(てっけつ)、慄悍(ひょうかん)、反噬(はんぜい)、
闡明(せんめい)、使嗾(しそう)

あたりは、読めもしないし見たこともないし
検索するために手書きパッド起動する必要もあって、
たいへんでした。

たとえば夏目漱石の「五月蠅い」みたいな、
虫太郎さんの造語なんかも 中にはあったんだろうと思うのですが、
そうでない普通の熟語にも、知らない言葉がありました。
使われていないから知る機会もない……ということでしょうか。

まだ100年も経っていないのに、実際消えてしまった言葉が
たくさんあるんだなと思うと、少し淋しい気がします。

でも、相手に通じない言葉を使っても、コミュニケーション
成立しませんよね。
「キミそれは反噬だろう、失礼な!」とか言っても
相手ポカンですよ。変換さえされないもの。
日常的に使っていくのは、もはや無理があるよなぁ。

たまにこうして、戦前の文学にも触れて
楽しんでいくくらいが、せめてもできることなのかな。

 kokusikan21.jpg

そうだ、あと、
麻耶雄嵩さんの「翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件」
という作品があるのですが、(彼にとってはデビュー作)
これ、『黒死館殺人事件』のオマージュやパロディに
なっているそうですね。
こちらは随分前に読んだことがあるんですが、その時は
黒死館との関連は全く知りませんでした。
(新本格ブームが始まった頃だったから、ふつうに
面白く読みました)

今読んだら、はは~んって思うようなこともあるのかな。
また読み返してみようと思います。

 kokusikan22.jpg

(で、さらにマジで関係ないけど、これ↑文庫版の初版本ですが、
本体に書かれたタイトルが間違ってるんですよね。
カバーの方は正しいのですが。
こんなことあるんだなって、当時思いました)

とにかく今は、読んでみてよかったなという思いです。
「なんだよ、こんな本!」みたいな悪感情は全然ないです。
3週間以上もかかりきりでしたので、大変でしたが……。
やっとこれで、編み物などもできます。

長い間ハンドメイド作品も載せずに
異常な長さの記事ばっかり続いちゃってスミマセンでした。
一応、本書を初めて読もうとされる方の
微力ながら一助にはなるかもしれないなと思います。
娘も、「読むときはお母さんのまとめ参考にしよかな」
と言ってました。飲み会の「行けたら行く」くらいのノリで。

じゃあ最後に、ドラマの予告編的に
最終章のダイジェストを載せておきますね。
つづきが気になった方や最初から自力で読んでみたいと
思われた方は、ぜひ手に取ってみられたら
損はしないんじゃないかと思います。

   *

この館の何処かに瀑布が落ちているのだ。

「開閉器(スイッチ)を、灯を!」

突然、額を蹴られて床に倒れる熊城。

「法水君。レヴェズは君の詭弁に追い詰められて、自分の
無辜を証明しようとした結果、護衛を断ったんだぜ」

呼び出される古賀くん。

「ところで、八木沢さん」

マントルピースの上にずらりとならぶ "忘れな壺"。

「昨日レヴェズ様が、私に公然結婚をお申し出になりました」

一つ二つ鶫が鳴き始め、やがて堡楼の彼方から、美しい歌心
の湧き出ずにはいられない、曙がせり上がってくるのであった。

「一体犯人は誰なんだ!」

 kokusikan23.jpg

(進捗・469/469ページ:読了)

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  テーマ:読んだ本の感想等 ジャンル:小説・文学
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