2023年総括
2023年12月31日 (日) | 編集 |
今年もあっという間におしまいですね。

ふりかえってみると、今年は思いがけず
棒針編みをがんばった年でした。

 opalSocks30.jpg
 opalSocks36.jpg

「魔法の糸 Opal で編むソックスと小物の会」
靴下を2足。

 dollSweater12.jpg

「ドール用棒針編み込みセーターキット」

 alanHandWarmer10.jpg

アラン模様ハンドウォーマー。

 longCardigan23.jpg

ミニサイズのフードつきコート。

長年「棒針編み難しい……」と思いつつも
少しずつ触れる機会を作っていましたが、
小さな作品や丁寧なレシピのキットのおかげで
だいぶ忌避感が薄れてきました。

それが今年のブランケットにつながったと思います。
簡易編み図の読み取りも挑戦して、
やっぱり難しいし満足のいく編み目にするのは難しいのですが、
だいぶ楽しんだな~というのが感想です。

 ajisai2023-14.jpg

かぎ針編みでは、アジサイガーデンブランケットを
けっこう一気呵成に編みました。

 gajou.jpg
 motikin01.jpg

あみぐるみは、どこでもいっしょのジュン(正月作品)と
もちきんちゃくちゃん。

 mimosa2023-42.jpg

キットでは、
「工作気分で作れるミモザの立体モチーフ」全3回を
コンプリート。

 lisaXmas09.jpg

クリスマス作品の、クロスステッチ・マイキー。

 miniatureBag18.jpg

後半とったキットは、「ヴィンテージなこなれ感
デリカビーズで編むミニチュアバッグコレクション」。
最後のも届いているので、近いうちに作ろうと思います。

 LEGOUp-ScaledMinifigure33.jpg

レゴで買った大きなセットは
「Up-Scaled LEGO Minifigure(#40649)」。
大きなミニフィグめちゃかわいい。

個人的なことでは、今年、5年ほどやっていたお仕事を退職しました。
何かトラブルがあったとかではなく、
会社が好調なのか もっと大きな社屋に移ることになり、
そこがだいぶ遠いのでそれをきっかけに辞めました。
好きなお仕事でしたが、体力的に年取ってきてきつく
なってもいたので、まぁ、頃合いでした。

今年、足の指が増える「妙な夢」を見たのですが、
その後で移転の話が出て、辞めることになりました。
この仕事始める前にも「妙な夢」を見て、
その後で決まったお仕事だったんですよね。
わたしは超常現象とか心霊現象を全く信じないけれど、
なにこれなにこれーってちょっと思いましたw

それで自由時間が増えたので、いろいろなものが作れました。
作りたい物を作りたい放題なのが最高で、ついつい
再就職をのばしのばしにしてしまい、反省しております。
来年は働こうと思います。(またあの夢見るかなw)

   *

今年最も気に入っている作品は
「トロとクロ(とゲスト)のブランケット」です。

 toroBlanket51.jpg

前から考えていたことの解決策を思いつけたこと、
苦手な棒針にやむなく挑戦し、結果スキルアップができたこと。
大好きな肌触りの良い糸で、寒い時期にとても役立つものに
仕上げられたこと。
などなど、満足しています。

どこでもいっしょは私にとって本当にモチベーションを
くれるコンテンツで、時に、実力以上の結果を
出せることさえあります。

 toro2023-16.jpg

今年もたくさん、どこでもいっしょのファンアートを作って
同じ趣味の方とも話せるし、楽しかったです。
来年は何ができるかなー。

不定期な更新となっても覗きにきてくださる皆さんには
いつも感謝しています。
わたしの趣味の活動が 皆さんの休憩のおともとして
楽しみの1つになっていれば幸いです。

良いお年をお迎えくださいね。
わたしは好きなお菓子をたくさん用意しましたので、
年取って食べられなくなる前に
暴飲暴食したいと思います。

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  テーマ:編み物 ジャンル:趣味・実用
黒死館殺人事件(5)
2023年12月30日 (土) | 編集 |
(第二篇 つづき)

○二、鐘鳴器(カリルロン)の讃詠歌(アンセム)で……

執事にとんでもないことを言った法水は、
「大体、太陽系の内惑星軌道半径が、どうしてあの
老医学者を殺したのでしょう?」とか
「私はある憎むべき人物が、博士を殺した微妙な方法を
知ると同時に、初めて、占星術や錬金術の妙味を
知ることができました」とか
「水星と金星の軌道半径を描くと、その中では、他殺の
凡ゆる証拠が消えてしまうのです」とか、
部屋中の人間(および私)を面食らわせます。

 kokusikan04.jpg

部屋の見取り図を書いて、水星はMercuryであり
水銀でもあり古代では青銅(Venus)の薄膜の裏に塗って
鏡を作っていて当然犯人の顔が映ることになりましょう。とか、
S一字で何が表されているでしょうか、第1に太陽、
それから硫黄ですよ。水銀と硫黄との化合物は朱。
朱は太陽であり、また血の色です。つまり、扉の際で
算哲の心臓がほころびたのです。とか、
マジで何言っているか分からないことを次々喋ります。

「Sの字はさらに悪魔会議日(サバスディ)、立法者(スクライブ)、
そうです、まさしく犯人は立って歩くことのできない人間――
それが犯人なんです」!
と、理屈も何もないこじつけみたいなことをドラマチックに言い、
私は「は?」と思ったし、検事や局長たちも「は?」だろうと
思ったのですが、ここでまさかの展開で、
真斎が急にがくがくして呼吸困難になって慌て出すのです。
何がそんなに刺さったのか??

法水が言うには、犯行は車椅子とカーペットを使ったと。
帷幕の影に隠れていた犯人は、鍵をかけようと扉へ近づいた
博士の後ろからカーペットをバインとやって波を作り、
(車椅子の?)足台を博士のひかがみに激突させる。
するとイエンドラシック反射によって博士が両腕を上げる。
その両脇から博士を抱え、短剣を心臓に向ける。
博士は反射的に短剣を握ろうとする。
そして直後に扉に激突して短剣が心臓を貫く。
カーペットを戻せば、博士の死体が部屋の中央にくるのだ。

すごい空気の部屋に、鐘鳴器(カリルロン)の音が響いてくる。
真斎は顔色は蝋白色で脂汗だらだら。
法水の推理はかなり強引に思えるけれど、
こんな反応をするということは、これが真実なんだろうか。

真斎がしぼり出すように言う。
「嘘だ……算哲様はやはり室の中央で死んでいたのだ……。
然し、この光栄ある一族のために……儂は世間の耳目を怖れて、
その現場から取り除いたものがあった……」

それは、テレーズの人形だった。

人形は死体の下になり、算哲の右手に両手を重ねていた。
易介に命じてさせた。

法水は急にスンっとなって、「ま、死体ももうありませんしね」
みたいに以降の追求をやめる。

そこへ、美しい四重奏の曲が始まる。
法水はそれを聴こうと、さっさと礼拝堂へ向かう。

検事になぜあと一歩で追求をゆるめたのか、と問われた
法水は爆笑し、
えっアレを本気にしてたの? 僕もああいう恫喝尋問みたいの
一番いやなんだよねーと言う。
真斎が何も喋りそうにないことを見抜き、精神的優位に
立って情報を引き出すための芝居だったらしい。
つまり、最後に出た証言がほしかったのか。

礼拝堂へ入ると、4人が演奏している。
ついに、被害者以外の楽団員が登場する。

チェリストのオットカールは、不細工な巨石にしか見えない。
ヴィオラ奏者のオリガ夫人は、如何にも峻厳な相貌。
ガリバルダ夫人は、透明感があってパッチリお目々。
3人は、44~5歳に見える。

ダンネベルグ夫人が亡くなったのに
四重奏が聞こえるのが不思議だったけれど、
第1ヴァイオリンを奏でているのは降矢木旗太郎だった。
「法水は、日本中で一番美しい青年を見たような気がした」
と書かれている。
(でも、「その美しさも所謂俳優的な媚色であり、
叡知の表徴をなすものが欠けている」とけなしてもいる)

また鐘鳴器が鳴り始め、それに合わせて口ずさみ、
終盤、倍音が聞こえる。最後の節は聞こえなかった。
法水はつぶやくような微かな声で言う。
「支倉くん、拱廊(そでろうか)へ行かなけりゃならんよ。
彼処の吊具足の中で、たしか易介が殺されているんだ」

   *

鐘鳴器(カリルロン) という楽器がどういうものか
パッとイメージできません。作品中には
「鍵盤を押して音調の異なる鐘を叩き
ピアノ様の作用をするもの」と注釈があります。
音色はのど自慢の鐘みたいな感じかな?と想像するけど、
でも直接叩くんじゃなくて鍵盤楽器なんですね。

"鐘鳴器" ではなかなか検索もヒットしなかったのですが、
「カリヨン」という表記が現在は一般的なもよう。
これならWikipediaもありました。

カリヨンは鐘楼などの塔状の建築物として設置される楽器であり、
多くは塔内にあるコンソールから演奏する。
パイプオルガンと並んで、世界で最も重い楽器の一つ、とのこと。

日本にはカリヨン的なモニュメントは300ヶ所以上あるが、
ほぼ全てが自動演奏のみが可能なものか、鍵盤があっても
動力を電気式で伝える非伝統的なもので、
厳密なカリヨンに当てはまるものは4つだけ、あるらしい。

楽器の数が限られているため、演奏者の数は少ない。
専門の学校を卒業するか、ギルド認定試験に合格することで
認定カリヨン奏者になれる。
("ギルド認定試験" って、ファンタジーRPGっぽさあるね)

ふむふむ、だいぶ理解できてきました。
Youtubeにも、演奏されるカリヨンの動画がありました。
最初はサラッと流せばいいかなと思ったんですが、
読み進んだら鐘鳴器がそこそこ重要なファクタっぽいので
いったん調べておいた方がよいかなと思ったのでした。



三、易介は挟まれて殺さるべし

爆弾発言をした法水だが、拱廊へは行かず
捜査員を集結させて鐘楼を取り囲ませる。
2時30分に鐘鳴器が鳴り終わって5分後には包囲完了。

拱廊へ向かいながら法水は悩み出す。
鐘鳴器の演奏者は伸子と鎮子のどちらかになるが、
音がパタっと止んだのではなく次第に弱くなっていった
点を考えると、二人が共に鐘楼にいたとは言えない。(?)
でも鐘鳴器の理論上倍音は絶対に不可能だ。
すると鐘楼には、演奏者以外にもう一人いなければならない。
ああ、あいつはどうして鐘楼へ現れたのか……

それなら鐘楼を調べればいいのになぜそうしない、と
局長が詰るが、ほんとそれ。
法水は、さらなる事件は防ぎたいから、と言っていたけど
よく分からない。

やっと拱廊へ来て具足類を調べる。
私に鎧のパーツとかの知識がないから、ここを読み解くのは
難しかったです。

法水は中央の萌黄匂(という鎧)を指す。
その両側の具足類は、なぜか右、左、右、左、と
交互にナナメっている。
鎧にはやはり易介が入っていて、甲冑を着て宙吊りで死んでいた。
喉に二条の切り傷がある。だが即死させる程度のものではない。
易介はなぜか鎧を横に着ている。
(つまり背中に瘤があるので、脇のスリット部分を
後ろへ回して納めているっぽい)
死後2時間は経過している。

(テレーズ人形の調査を終え、易介失踪の知らせを聞いた時が
午後1時。その時熊城が「10時半に僕の尋問が終わった」
と言っています。現在2時半だから、易介が命を落としたのは
10時半から午後0時半までの2時間の間ということか)

易介の体を引き出して調べると、顕著な窒息徴候が現れている。
けれど、口を閉息した形跡や、索痕や扼殺の痕跡もない。
時間をかけて次第に息苦しくなっていったと想像するしかない。
喉の傷は、死後につけられたもの。
甲冑の内部以外には一滴の血も発見されなかった。

どうしてここで易介が殺されているのが判ったのか、と問われ
法水は「無論鐘鳴器の音でだよ」と答える。
鐘は残響が著しい楽器なのに、先刻は澄んだ音が聞こえた。
拱廊の扉を閉めたから、残響が聞こえなくなったんだ。
易介が生から死へ移る凄惨な時間のうちに鎧を動かし、
左右の具足も順に回転させ、端のがノブを叩いて
扉を閉めてしまったのだ。とのこと。

まぁ、殺人があったと言い切るのは難しいかもだけど、
鐘の音の違和感から、拱廊で何か起こったと推量するのは
たしかにお見事。

ここで、最後に易介を見た者……として古賀庄十郎という
召使いが呼び出されるが、この人の証言がまぁすごい。

「最後に見たというか、私は易介さんがこの具足の中に
いたのも存じて居りますし、死んでいると云う事も……」
ええええ。

たしか11時半頃、礼拝堂と換衣室の間の廊下で易介を見た。
ツイてない、真っ先に嫌疑者にされてしまった……と
死人のような顔と声で愚痴っていた。
額を触ると、8度くらいの熱がありそうだった。
とぼとぼ広間(サロン)へ歩いていったのが、姿を見た最後。

1時を少し回った頃、吊具足がグラグラ動いているので
調べたら、萌黄匂の籠手の影で手を掴んでしまった。
40度はありそうな熱さだったし、小男でないと具足の中に
隠れられるわけがないし、易介だと悟った。
易介さんと声をかけたが、返事もしなかった。

ちょうど2時、最初の鐘鳴器が鳴っていた時、
田郷さんを寝台に寝かせて医者に電話をかけにいく途中。
(法水に圧迫面接された後、倒れたっぽい)
もう一度具足のそばへ来たら、易介の妙な呼吸使いが聞こえた。
気味悪くてすぐ離れ、刑事に電話のことを報告し、
戻りがけに今度は思い切って手に触れてみた。
わずか10分ほどの間に、氷のようになっていて
呼吸もすっかり絶えていた。仰天して逃げ出した。

「検事も熊城も、最早言葉を発する気力は失せたらしい」
と書かれている。
私もたくさんのミステリを読んだけど、こんな、
なんとも言えない感情を抱いた証言は初めてかもしれない。
ゲーム「逆転裁判」の法廷パートで矢張がとんでもない
証言をぶちまけた時の空気を思い出す。

「死後2時間」とか「じわじわと窒息」とか、
これまで推測していた状況とことごとく矛盾していて、
混乱の極み。

法水だけは落ち着いて、易介に甲冑の知識があったか尋ねる。
具足の手入れは全て易介が行っていたとのこと。
検事が「易介は自殺で、喉の傷だけ犯人が後からつけたのでは」
と言うが、兜の緒の締め方が作法外れで、とても
通暁している者がやったとは思えない、と否定する。

もしかしたら鐘楼へ行ったら、易介の死因も判るかもよ、
と言って鐘楼へ向かう。
半円になった廊下に3つ扉がある。
取り囲まれて出るに出られなくなった犯人がうずくまって
いるかも……と緊張しながら右側の扉を開けると、
壁際の鐘鳴器の鍵盤の前では、紙谷伸子が倒れていた。

演奏椅子に腰から下だけを残して、その儘の姿で
仰向けとなり、右手にしっかと鎧通しを握っていた。

「ああ、此奴が」
と走り寄った熊城が伸子の肩口を踏み躙る。(!?)
法水は中央の扉に紙片があるのを見つける。

Sylphus Verschwinden(風神よ、消え失せよ)

   *

トンデモ証言者といきなりトンデモ行動する捜査局長とで
読んでるこちらもちょっとダメージ負った気分です。

よく考えてみると、
「とある館で連続殺人事件が起こる」
というシチュエイションはミステリ界ではよくあるけれど、
「捜査が始まってからも連続殺人事件が続く」
というのはちょっと類を見ないかもですね。
社会派の連続通り魔事件とかならわかるけれど、
館の中という限定されたスペースで、
捜査員がたくさんいる中犯行を重ねるわけですから、
かなり斬新な展開ですよね……。

   *

ここまでの登場人物情報・つづき

古賀庄十郎(40代)最後に易介を見た召使い。

(進捗・119/469ページ)100ページ超えたっ 

 kokusikan05.jpg

明日は、今年の総括を記事にしようと思っています。
なので黒死館は年をまたいでしまうけれど、
また続きを読んでいこうと思います。
けっこう続きが気になる状態なので、まだ脱落せずに済みそうです。

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  テーマ:読んだ本の感想等 ジャンル:小説・文学
黒死館殺人事件(4)
2023年12月29日 (金) | 編集 |
第二篇 ファウストの呪文

○一、Undinus sich winden(水精よ蜿くれ)

章が変わっても、久我鎮子とのやりとりが続く。
鎮子は博識で、古今東西さまざまな○○学の
細かいうんちくをひけらかすようにまくしたてる法水にも
全然ひるまない。

法水の話を聞き流して鎮子の話に注目すると、
新たな情報が分かってくる。

7時頃、伸子とダンネベルグ夫人が争論する。
11時45分頃、易介が10分ほど部屋をあけた。
その際 裏玄関の石畳のところから、2階の中央、
神意審問会が行われている部屋の右隣の張り出し窓に
真っ黒な人影を見たらしい。
地上に何か落とした微かな音がして、見に行ってみると
辺り一面に散在した硝子の破片があった。
審問会の場には全員いた。
その硝子の上に、紙片が落ちていた。

その紙片にはドイツ語で
Undinus sich winden
と書かれていた。(水精よ蜿くれ)
法水は、原典ではUndineという女性名詞なのに
男性に変えてあることが気になる。
(ゲーテの「ファウスト」の一節とのこと)

この時鎮子は自ら、易介が中座した間、部屋に一人きり
だったことを発言する。

易介は家族の一員に等しい。幼い頃から44歳の今日まで
ずっと博士の手元で育てられてきた。
私はまだ7年にしかならない。
この図は算哲様の死後、人が手を触れない埃だらけな
未整理図書の底に埋もれていて、私も昨年の暮れまでは
知らなかった。
絶対に人目に触れなかったことは断言致します。

あれ? この殺害計画書が発見されて、そのために
一家の者がパニックになったと思っていたけれど、
このことは鎮子以外知らなかったらしい。
思い違いをしていましたね。

ふつうに考えると、この図を作ったのは算哲博士
ということになります。
誰かが、たとえば脅しなどの目的で作ったのなら、
もっと見つかりそうなところに置くか、
自分で発見したふり などをするはずですから。
でも、算哲博士のところへ送られてきたものを
無用な恐怖を与えないように博士が隠していた……
とかも考えられるか。

法水はいきなり鎮子に
「貴女は、もう半分の方は御存じないのですか」
と尋ね、さすがに鎮子が驚いてそんなものあるわけないと叫ぶ。
法水はいろいろと理由を述べるが、難しくてよく分からない。
彼の中では、この図が半分にすぎないことは確定事項のよう。

最後に鎮子が言う。
算哲様の日課書、自殺の前月、昨年の3月10日の欄に
こういう記述がある。
「吾、隠されねばならぬ隠密の力を求めてそれを得たれば、
この日魔法書を焚けり」

序篇に、博士が死んだのは昨年3月と書かれてたんだけど、
ここを読むと違うんだよな。
この篇では、博士の自殺は4月26日となっている。
こっちの方が正しいのかな。

彼女が部屋を出て行った後 法水は、
「もちろん久我鎮子は博識無比さ。然し、あれは
索引(インデックス)みたいな女なんだ。(略)
だから、独創も発展性も糞もない。第一、ああ云う
文学に感覚を持てない女に、どうして、非凡な
犯罪を計画するような空想力が生れよう」
と、まるでけなすように犯人から除外している。
鎮子は嘘を言っていない、ただ、易介がどの程度
真実を伝えたかだ、と。

易介は館内のどこにも見つからない。
古代時計室を調べたか? と法水は聞くが、
昨夜8時に執事が鍵を下ろしたままで、鍵は紛失中らしい。
……この屋敷の鍵の管理、ずさんにもほどがないか。

電話で村役場に問い合わせて分かったこと。
昨年3月4日、4人の外国人は帰化し、算哲の
養子・養女となっていた。
遺産相続の手続きはまだされていない。
もう法定期限は2ヶ月しかなく、それを過ぎると
遺産は国庫の中へ落ちてしまう。
もしやここに殺人の動機が??

165ページに、検事がまとめてくれた事件の情報が
覚え書きとして書かれている。
今までメモってきたことと突き合せて、
大体把握できててヨシヨシと思いました。

法水や検事が屋敷の住人たちの動機の有無について
話をしていると、
「すると、儂だけは安全圏内ですかな」
という不敵なセリフとともに、新たな登場人物が現れる。

喚問されてやってきた田郷真斎(たごうしんさい)は70歳。
数冊の著述もある中世史家であり、この館の執事。
半身不随で車椅子に乗っている。
丁寧に容貌をこきおろした最後に、「一語で
魁異(グロテスケリ)と云えよう」とバッサリ言っちゃってる。
ほんとこういうところ昔の作品は容赦ない。

博士の遺産について聴取しようとする熊城だが、真斎は
「儂には、とんと……」とか
「なに、遺言状……ホホウ、これは初耳じゃ」とか
うそぶくので、空気がピリっとする。

でもそんな空気を全く読まない法水が、
「ハハア、貴方は下半身不随ですね」とか言って、
「貴方が算哲博士の死を発見されたそうですが、
多分その下手人が、誰であるかも御存じの筈ですがね」
と言って全員を唖然とさせる。
自殺と決定されたものをバカな……と執事は言いかけるが、
「貴方は、その殺害方法までも多分御承知の筈だ」

正直ここまで、小難しいことを 知らないの?とばかりに
べらべら喋って話をなかなか進めない探偵が
ちょっとウザキャラっぽく感じていたけれど、
ここはカリスマを感じて痺れました。

これどういう意味なんでしょう。
「あなたが犯人ですね」
と言っているようにも思えます。
あるいは、算哲博士の指示に従って、いわゆる
自殺幇助のような工作をしたとか?

こんなシーンでバサっと章を切るのも
ジャンプの連載漫画みたいで驚きがあります。
そうか、黒死館殺人事件も雑誌連載だったんですもんね。
修飾の多さによる読みづらさが印象強くなっちゃうけれど、
物語の構成には読者をワクワクさせる
分かりやすい面白さもあるんですね。

   *

ここまでの登場人物情報・つづき

田郷真斎(70)黒死館の執事。史学者。

(進捗・85/469ページ) 

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  テーマ:読んだ本の感想等 ジャンル:小説・文学
黒死館殺人事件(3)
2023年12月27日 (水) | 編集 |
※三大奇書を読破するための挑戦の続きです。
 メモと感想を書きとめています。

わたしが読んでいるこの版はたぶん、だいぶ平易に
旧字や仮名遣いを直してくれていると思うのですが、
それでも、読めない漢字や知らない物の名前や熟語が
しばしば出てきて、なかなか難しいです。
(ATOKの手書き文字入力機能しょっちゅう使ってます)

このメモをまとめるために行ったり来たり
2・3回ほど読み直したりしているのですが、
そのおかげで何とか意味が分かったり
状況が理解できたりしています。
ふつうの読書のように読んでいたら、
ちんぷんかんぷんのままだったかも。

興味ない方がほとんどだとは思うのですが、
もう少し、続けさせてください。

   *

(第一篇のつづき)

○三、屍光故なくしては


図書係の久我鎮子の話を聞くことになる。

鎮子は年齢52~3歳で「老婦人」と書かれている(……)。
典雅な風貌で、静かな物腰の中に圧倒的な精神の強さを
感じる女性。黒ずくめの和装。

彼女の話で、やっと状況が明らかになってくる。

現場の部屋に調度がほとんどないのは、
ここが明けずの間だったから。
今まで3度の変死事件が、全てこの部屋で起こったから
算哲様の自殺を最後に永久に閉じることになった。

算哲の死以降、家族や楽団員が落ち着きを欠くようになった。
特にダンネベルグ夫人は狂的に神経質になり、
鎮子と易介以外には食事を運ばせなくなった。

何とかこの恐怖を払うために夫人が開いたのが、
昨夜の神意審問の会。
9時に開かれ、旗太郎、4人の楽団員、鎮子、秘書の神谷伸子が参加。
(しばらく滞在していた津多子は、昨日の早朝帰ったため不参加)

栄光の手(ハンド・オブ・グローリー)を使った魔術で
邪心のある者は体がすくんで心気を失う・・・はずだったが、
「ああ算哲――」と叫んで倒れたのは夫人自身だった。
夫人は「誰も勝手を知らない部屋へ」ということで
この部屋を選び、鎮子と易介に頼んで運ばせた。
これが10時頃のこと。

11時頃に易介が広間から果物皿を持ってきた。
この時旗太郎と伸子も様子を見にきた。
易介が持ってきたレモナーデを伸子が毒味し、
大丈夫だったので夫人は3杯も飲んだ。
旗太郎と伸子は、壁のテレーズの絵を外して持ち去った。
(この館では不吉な悪霊のように思われていて、特に
ダンネベルグ夫人は嫌っていたから)

12時に夫人はドアに鍵をかけさせ、鍵は枕の下に入れた。
そしてオレンジをとった。
その後は音も聞こえず熟睡したようだったので
私たちは衝立の影の長椅子に横になった。
鈴の音などは聞いていない。

付き添いの二人は、同じ部屋の中にいたっぽいですね。
前回読んだところに「徹宵付き添う」と出てきて
徹宵を調べたら「夜どおし。 また、一晩じゅう寝ないで過ごすこと」
とあったので、状況が不思議だったんです。
誰かが寝ずに付き添ってるのにどうやって殺せる?って。
付き添ってはいたが、姿は見えない位置だった
という感じですね。

法水は、「この室は明けずの間だったと云うけれども、
その実、永い間絶えず出入りしていたものがあった」と言う。
「鎖(とざ)されていた三年のうちに――」とも言うんだけど、
この部屋で博士が命を落としたのは10ヶ月前のはずなんだよね。
3年ってどこから出てきたんだろう。
具体的な数値ではなく「長い間」を表しているだけなのかな。

そして、コプト織(たぶん部屋の絨毯)の下に
足跡のような水で印した跡があるのを見つける。
テレーズ人形の足形と歩幅に一致する。

鎮子がとんでもないことを言う。
「恐らく最後の一人までも殺されてしまうでしょう」
法水もさすがに驚く。
鎮子は「云い当ててみましょうか。死体は多分
浄らかな栄光に包まれている筈ですわ」とまで言う。
懐から取り出した紙に描かれていたのがこれ。

kokusikan03.jpg

折った右側には一艘のエジプト船が描かれ、
左側がこの絵。
6マスの全てに、光背をつけた博士が立っていて、
傍らの死体を眺めている。
裏面には殺人方法を予言した文章も書いてある。

グレーテは栄光に輝きて殺さるべし。
オットカールは吊されて殺さるべし。
ガリバルダは逆さになりて殺さるべし。
オリガは眼を覆われて殺さるべし。
旗太郎は宙に浮びて殺さるべし。
易介は挟まれて殺さるべし。

鎮子は沈痛な顔をして言う。
四角の光背は生者の象徴。
船は古代エジプト人が夢想した死者の船。
一人の水夫もなく浮かんでいて、死者がそれに乗ると
その意思のままに独りでに動いていくと言われる。
つまり、博士は永遠にこの館の中で生きている。
そしてその意思によって動く船が、テレーズ人形なのだ。

第一篇はここで終わり。

この版画みたいな挿し絵、すごく異様でこっわい。
ページをめくった時、ちょっとヒエってなりました。
給仕長の易介が姿をくらました……と
まるで容疑者のように言われていたけれど、
こんな絵に描かれて、そのとおりに一人死んで、
いずれは自分の番・・・と思ったら
そりゃあ逃げるよね!

博士の死以降 家の者が落ち着きを失って……という話を
聞いた時には なぜ?どんな理由で?と思ったけど、
こんな殺人予告があったら、そりゃ恐怖にも駆られるね。
特に外国人の4人は この家の外で生きていくことも
無理だろうから、逃げることもできない。

えぇ・・・本当に連続殺人事件になってしまうんだろうか。
旗太郎まで死者リストに入っちゃってる……。
17歳の息子を殺すって、なかなかそんな動機ないと思うが……。

ここまでのところはファンタジー要素が強いけれど、
合理的な解決に結びつくのかなぁ。

(進捗・63/469ページ) 

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  テーマ:読んだ本の感想等 ジャンル:小説・文学
黒死館殺人事件(2)
2023年12月25日 (月) | 編集 |
※三大奇書を読破するための挑戦の続きです。
 メモと感想を書きとめています。
 とばしてもらって大丈夫です。


第一篇 死体と二つの扉を繞(めぐ)って

○一、栄光の奇蹟

3人が寄り道せず、無事黒死館へやってきました。
(何も発言しないし、法水も検事にしか話しかけないけど
たぶん「筆者」もいっしょにいるんだと思う)

黒死館は二層楼で、中央に礼拝堂や左右に塔櫓がある
バロック調の建物。ガーデンも豪華っぽい。
分からない言葉があってはっきりイメージするの難しいけれど、
法水はこの外観を見ただけで、何事か分かった感を出している。

老人の召使い(バトラー)がいる。
玄関を入ると馬蹄状の階段楼になっていて、解剖図や処刑図や
陰惨な絵ばかり飾られている。
階段上の正面に2体の甲冑があるが、バトラーによると
「昨夜、7時までは階段の両裾に置いてあったが
8時過ぎには此処まで飛び上がっていた」とのこと。

2階の廊下には和式の具足類が並んでいるが、
これも、兜を取り違えられたものがある。

現場は2階の1室。
何の部屋かよく分からないけれど、かび臭かったり
暖炉の上に埃が積もっていたりする、しばらく使われて
いなかった部屋らしい。被害者の部屋ではなさそう。

驚くべきことに、死体がまだそのままそこにある。
それを見た瞬間の描写がこちら。

「見よ! そこに横わっているダンネベルグ夫人の死体からは、
清らかな栄光が燦然と放たれているのだ」

死体が、光っているらしい。想像もしてなかった、びっくり。

法水は死体を調べ始める。
いきなりナイフでグサリと刺して血の出方を見たりして
昔はそんなのアリだったのかと驚かされる。
以下、死体について分かったこと。

死後10時間は経過している。
明白な青酸中毒。
口腔内にも光がある。
帷幕のすぐ内側の寝台に、俯せで横たわっていた。
両側のこめかみに入れ墨のような切り傷があった。

こめかみの傷は挿し絵までついていて、

 kokusikan02.jpg

これは降矢木家の紋章の一部をつくっている、
フィレンツェ市章の二十八葉橄欖冠(ようかんらんかん)
とのこと。

ようかんらんかんが何か分からないから検索するのですが、
変換で漢字を出すことすら難しい。
(結局ようわからんかった)


○二、テレーズ吾を殺せり

光っている以外にも死体がはらむ謎を法水が指摘する。

死体の紋章が彫られたのは死後でもなく、服毒以前でもない。
彫り上げた数秒後に絶命している。

支倉検事や、現場に来ていた熊城捜査局長が大いに困惑する。
私も困惑。
法水がそう言ってるだけなんだけど、確定事項として
考えていいのかなぁ。

以下、これまでの熊城らの捜査で分かった情報。

昨晩9時、家内での集会の席上、ダンネベルグ夫人が卒倒する。
現場の部屋へ運ばれる。
図書係の久我と給仕長の川那部が徹宵付き添う。
11時半頃、部屋に鍵をおろす。窓から侵入した形跡はない。

12時頃オレンジを食べる。その中に青酸カリが仕込まれていた。
オレンジは夫人が自分で果物皿から選んだ。
でも夫人は同じ皿にあった梨の方がよっぽど好き。
オレンジの最初に食べた1房にだけ毒が入っていた。

発見は明け方の5時半。
今朝8時の検視により、死亡推定時刻は0時頃。
死体の発光は10時頃から。ひととおり調べ終わって
スタンドを消した時に分かった。

部屋の突き当たりの壁には、最近何か額縁状のものを
取り外したらしい跡が残っている。

寝台の下にあった、と熊城が紙片を出してくる。
被害者の字で書かれたメモ。

なんと書いてあったか書かれてないんですけど、
章タイトルの「テレーズ吾を殺せり」なのかなぁ。
日本語で書いてあったんだろうか?
被害者は外国人だけど、乳飲み子の時にもらわれてきたなら、
日本語で育って、話すのも書くのもすらすらなのかな。

じゃあ人形を調べようということになるが、
人形のある部屋と薬物室の鍵が紛失していることが分かる。

薬物室の鍵までなくなっていることに驚いた検事が
「薬物室もか。大体青酸加里なんて、小学生の
昆虫採集箱の中にもあるものだぜ」と言うが、
そうなんですか?? こわいんですけど昭和9年。

人形の部屋のドアに穴をあけて入り、中を調べる。
床には人形が2往復した跡が残っている。
人間の足跡はないが、歩いた跡の上を人形に踏ませれば
カモフラージュできる、と法水は言う。
部屋の戸の鍵は内側から鍵穴に刺さっていたが、
人形と糸を使えば外から鍵をかけられることを実験する。
でもなぜそのようなことをしたのか。

最後に人形を動かしてみると、コトリと踏む一歩ごとに
リリリーンと美しい顫音がすることが分かった。

給仕長・川那部易介が姿を消したと報告がある。
尋問を終えたのが10時半で、現在は1時。
この給仕長は侏儒で傴僂で啞だ、と、
令和ではまず見ない単語がバンバン出てくる。

検事が法水に5つの疑問点を箇条書きにして挙げるが、
法水はニコリとして
「万に一つの幸い吾にあらば、犯人を指摘する人物を
発見するやも知れず(第2或いは第3の事件)」
と答えて煙に巻く。
煙に巻いたつもりはないのかもしれないけれど、
私には何を言ってるのかさっぱり分からん。

検事の疑問のひとつに
「法水は何故に家族の尋問を急がないのか?」
という項目があったけれど、私もすごく同意。
次の章では、家族の話が訊けるのかなぁ?

   *

ここまでの登場人物情報・つづき

館の人は名前だけ出たりチラっと会っただけで
まだどんな人かよく分からない。

熊城 捜査局長。法水とは顔なじみっぽい。
紙谷伸子(23~4歳) 算哲博士の秘書。
久我鎮子 図書係
川那部易介 給仕長

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