「キャッチャー・イン・ザ・ライ」
2022年02月16日 (水) | 編集 |
娘が学校の図書室で借りた本を読んでいました。

クラスでビブリオバトルがあって、
どなたかがお勧めしていて興味を引かれたので
借りてきたとのこと。

その辺に置いてあったのを何気なく見たら
「キャッチャー・イン・ザ・ライ」という翻訳物でした。

 catcherInTheRye.jpg

珍しいなと思い、
「サリンジャーかぁ。何か有名な代表作あったよね、
"ライ麦畑でつかまえて" だっけ」
と言ったら、
「それがこれだよ」
と言われて、え!? ってわりと大きめの声が出てしまいました。

原題初めて知りました。
今は原題そのままで出版されているんですね。
わりと近年、あらためて翻訳されたもののようで、
訳者は村上春樹さんです。

「タイトルは有名で知ってるけど読んだことない」
という本って結構ありますね。
わたしはこの本、そういう中の1冊でした。
良い機会なので、ついでに読ませてもらうことにしました。

ちなみに、「ライ麦畑でつかまえて」という
タイトルからわたしが想像していた内容は、

古き良きアメリカ西部のとある村。
幼馴染みの少女と少年。
どこまでも広がる金色のライ麦畑の中で
時間を忘れて追いかけあったかけがえのないあの頃・・・
時は流れ、都会の片隅で必死に今日を生きる
女性と青年が、ふとしたことで再会し・・・

みたいな感じでした。(大外れであったことが後に分かる)

そんな「前知識ゼロ」で読んでいくと、
なかなかに捉えどころのないお話です。
どんなストーリーなのかまだ分からない、
まだ分からない(もう半分過ぎたのに)、
え、このまま終わっちゃうのか?
でおしまいまで来てしまった感じ。

少しずつ分かっていくことをまとめると
主人公は、社会人の兄や小学生の妹もいる
おそらく高校生くらいの男子生徒。
クリスマスを目前に控えた時期に
なんと4回目の退学を食らったらしい。
未成年にも関わらず飲酒と喫煙の習慣がある。

将来の夢も、目標も、やる気も、協調性も、
親への感謝も、いっさいない人。

この本は多分、読んだ時の年齢や立場によって
感想がだいぶ違うのではないかと思います。
今のわたしは主人公の親世代くらいの年代で、
(あらぁしょうもない子ねぇ。親御さん大変だわ)
と思うのですが、若い頃読んでいたら
主人公に対してイライラしちゃったかも
しれないなと思います。
ちゃんとしてないのに文句は一丁前なので。

物語は主人公の変則的な一人称で語られます。
変則的な……というのは、時折 急に
「君だってそう思うだろ?」
とか言ってくることがあるからです。
最初にそう言われた時は驚きました。

「君」が誰なのか、語られないのですが
主人公は現在 結核?か何かで療養しているらしく、
「君」も、隣のベッドに入院している
同世代くらいの患者だったりするのかなと
想像しながら読んでいました。

主人公は、また退学を食らって親に伝えないと
いけないけれどまだ伝えていない、そんな
最悪のコンディションだった数日間の出来事を語ります。

何が起こってその時どう思ったかを
実に事細かに語り、折々に
前の学校の級友とか幼少期の幼馴染みなどの
エピソードを怒濤のごとく挟んできます。

セルマ・サーマー、ザンベジ先生、ロバート・ティチナー、
ポール・キャンベル、ウォード・ストラドレイター・・・
とても覚えきれないのでメモりながら読んでいましたが、
最終的に50人以上になっていました。

そんな調子なのでメインの話はなかなか進まないのですが、
たぶんストーリーの展開を楽しむタイプの小説では
ないんだろうな、と後から思いました。

全体的な印象としては、主人公をとりまく環境が
とにかく「民度が低い」。
通っていた学校の寄宿舎は「こそ泥の巣窟」みたいに
書かれていました。級友も品位に欠けたり
常軌を逸して不潔だったりします。
3度も退学で転校して、そのたびに通う学校の偏差値が
下がっているのでしょうし、
主人公自体のふるまいも非常識で自ら盛り場へ足を
踏み入れているわけなので、周りの環境の悪さは
自業自得、因果応報と言えるのかもしれません。
でもまぁ、オバちゃんの立場から見ると、
ちょっと可哀想にも思いました。
もうちょっと運が向いて、良い環境で暮らせたら
良かったのにねぇって。

主人公は、身の回りで起こる出来事、会う人々に
つねに不満を持ち、心の中で不平を唱え、
謎の上から目線で他人を哀れみ、
被害者意識が強く、心をくさくささせています。

こうなってしまっている人の考え方を変えるのは
特にこういう環境の中では難しいと思うけれど、
終盤とある人物に「あなたはけっきょく、
世の中のすべてが気に入らないのよ」
と両断されています。
まだ、まともなことを言ってもらえるんだな……と
ギリギリ手遅れじゃないような気がして
このくだりは印象に残りました。

この「ライ麦畑でつかまえて」という作品は、
1951年出版だそうです。
およそ70年にわたって(外国である日本でまで)
読み継がれているので、
"不朽の名作" ということですよね。

これ、どこがそんなに評価されているんだろう。

読み終わって、それをずっと考えていました。
同じような立場の人には刺さるということでしょうか。
それって自堕落な若者ということです。
若くてもちゃんとしている人はいるので
世界がこの主人公みたいな人間ばっかりとは
さすがに思えないけど……。

考えながらひとつの仮説を思いつきました。
この主人公は、とにかく話が大げさです。
「数マイル離れて歩いた」とか「100万個くらいある」とか
息をするように話を盛ります。
自分の発言が正確でないことに対する罪悪感とか、
それが正しいことではないという認識は、なさそう。

そういう人間が語ることは、
果して実際に起こったと言えるのでしょうか。
エピソードのうちのいくつかは、嘘なのでは??

読んでいてたびたび
「まだ寝ないのか」
と疑問に思いました。

夜寄宿舎で学友とひとモメして、
駅まで歩いていって列車に乗って町へ出て、
ホテルをとって、また町へ出て、
酒場でしばらく過ごして、ホテルへ戻って、
娼婦とひとモメして、やっと寝ます。
(わたしは学校で友達とモメた辺りから既に
「いいから早く寝ろ」と思っていました。
学友の中には既に就寝している生徒もいる時間帯だったからです)

語られたエピソードに嘘が混じっているのなら、
一晩で起こるには多すぎる出来事の説明がつきます。

というかもう、すべてが嘘まである。
どこからどこまでが実際に起こったことで、
自分がどんな嘘をついたのか、
主人公には分からなくなっているのかもしれない。

だとしたら、あの謎の「君」という存在は、
もしかしたら入院患者仲間ではなく
カウンセラだったりするのかもしれません。

主人公が今、どこかの病院に入院しているのは
おそらく確かなのだろうと思います。
でもそこは、彼が言うような呼吸器系の身体的な疾患を
治療する病院ではないのかもしれない。
(最終段でチラッと「精神分析医が熱心に質問してくる」
と言っている描写もあります)

未成年のうちからだいぶ飲酒量が多かったようなので、
その影響もあるかもしれません。
彼はひょっとしたらもう学生の年代ではないかもしれず、
弁護士の父親もおらず、
そばで(仕事として)静かに話を聞いてくれる "君" に、
あったかもしれない若い頃、
いたかもしれない自分、の話をしている・・・

もしこれが真相で、
主人公の語る膨大な話が全てちりばめられた伏線だとしたら、
これは確かに傑作だ!とミステリ好きなわたしは思いました。
(最後まで種明かしされていないのも実に鮮やか)

・・・まぁ、それはないのかな。
わたしは、そうだった方がこの小説を楽しめますが。

ところで、「ライ麦畑でつかまえて」というタイトルの
由来はやはり読みながら気になっていて、
その疑問はちゃんと解けました。
ロバート・バーンズという方の詩の一節なのですね。

このフレーズにからめて主人公が語ることは、
もうまさに全部がゴミ溜めのようなこの話の中で、
なんだろう、めちゃくちゃ透明な水晶のような
純粋な美しさを感じる言葉でした。

これもまたその場の思いつきや出まかせなのかもしれないけれど、
そうだとしても、この発想が主人公の中にあったことに驚くし
こんなことを考えられるなら、主人公、まだまだぜんぜん
すてたもんじゃないよ、と思いました。
これがタイトルになっていること、素晴らしいと思います。

この本はきっと、10年おきくらいに読み返したら
自分の中に全く違う感情が起こったりして楽しめそうですね。
わたしも、10代の時に読んでおくべきだったな~

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  テーマ:読書記録 ジャンル:小説・文学
ベーシックコットン フローズンカラー
2022年02月10日 (木) | 編集 |
毛糸ピエロさんのベーシックコットン(という糸)は、
2020年から新色のリリースが続いています。

2020年3月から1年間、毎月1つ限定色リリース。
2021年3月にネオンカラー、6月に夏カラー、
9月に秋カラー、が各5色ずつ。

この調子で「12月に冬カラーが出たりするかも」と
予想していたのですが、新色リリースはなく、
はずれちゃったな~と思っていましたが、
ここへ来て2022年2月に
「フローズンカラー」という5色がリリースされました。

401. フロストシルバー
402. ペールライラック
403. パウダーグリーン
404. ゼニスブルー
405. アイアンブルー

というカラー名。
廃盤となった限定色も含めると、これで全58色になります。

今回も5色セットのミックスアソートを
作ってくださっていたので、それを購入しました。

 basicCotton2022-01.jpg

ちょーっとわたしの写真では色味が写し切れていませんが、
どれも良い色です。
特に真ん中のパウダーグリーンがいいなぁ。
アイアンブルー以外は淡い色合い。
「冬カラー」ではないけれど、この季節のイメージに
合う感じのラインナップです。

 basicCotton2022-02.jpg

ベーシックコットンに以前からある
10.スカイグレー
11.ネイビーブルー
という2色もブルー系で、今回の色と比べてみると
こんな感じ。
従来の色と併せて使っても調和がとれそうです。

ブルー系の色はお気に入りで、
くまとか作る時にもよく使っていました。

 basicStripeBear37.jpg
 (こんなんとか)

今考えると、青い熊ってありえないですね。
ピンクや黄色でも同じことですが。

野菜とか果物とかって、キャラクタにする時に
本来の色から逸脱したカラーになることは
まぁまずないように思います。

青いイチゴとか、赤い大根とか、
成り立たないですよね。

でも動物だと、ピンクの熊でも水色のぞうさんでも
わりと自然と受け入れられるのが、
あらためて考えると不思議だなと思いました。

ベーシックコットンに話を戻すと、
今回のカラーは素敵で気に入ったので、
追加で単色パックも買おうかなという気分です(^^)

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  テーマ:編み物 ジャンル:趣味・実用
春のトロまんじゅう
2022年02月06日 (日) | 編集 |
カラフルなもち米が乗っかった
桃の節句の時期のおまんじゅう、ご存じでしょうか。

 toro2022-20.jpg

「今川焼き」みたいに、いろんな名前で
日本全国あちこちに同じコンセプトの和菓子があるそうです。

わたしはこどもの頃は知らなかったのですが
今住んでいる所はこれが銘菓になっている地域なので、
この時期になると専門店だけでなく
スーパーでも和菓子コーナーにふつうに並びます。
娘も大好物。

彼女が小さい頃、市の産業フェスティバル的なイベントで
このおまんじゅうの手作り体験をしたことがあります。

あんこや生地は用意されていて、
丸めて、おこめを載せるところを作業させてもらいます。
他のブースを見て回るうちに蒸かしてくれて、
帰りがけにお土産にもらっていけるというブースでした。
好きなおやつを手作りできて、とても良い経験でした。

お米は量の決まりもないようで
無造作に載っているわけですが、
わたしは以前からこのお米に
多少のデザイン性を持たせても良いんじゃないか……
と思っていました。

そこで今回ミニチュアで、この和菓子を
トロアレンジで作ってみました。

 toro2022-21.jpg

キットのカレーライスを作った時に量産したお米が
残っていたので、それを流用しました。

 toro2022-22.jpg

お米がブルーのタイプは実際には見たことないですが、
天つ空町の銘菓として、特別にどうでしょうか(^^)

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  テーマ:こんなの作りました♪ ジャンル:趣味・実用
純喫茶メニューの会(9) Re:オムライス
2022年02月04日 (金) | 編集 |
この前作ったサンドイッチを
他のメニューといっしょに保管しようとした時
気づいたのですが、

 cafeMenu05-18.jpg

なにこれw
ケチャップがピランってなってます。

オムライスは、このキットの第1回に作ったものです。
10月のことでした。
この時はUVレジン用のライトがなくて、
天日でなんとか固めて仕上げたのでした。

しばらくすると
こんなふうになっちゃうことがあるんですね。
ちゃんとライト使えば、大丈夫なのかなぁ。
理屈は全く分かりませんが、何かがダメだったのでしょうね。

このままではアレなので、
作り直すことにしました。
まずはパパッとオムライス部分を再作成。

 cafeMenu05-19.jpg

白身をつける工程が、何度やっても楽しいです。
ブロッコリーはそのまま使おうと思います。

そしてレジンによるケチャップをかける工程です。
あれからいくつかのメニューでレジンを使い、
全くの素人だったあの頃とは違うので
きっと前よりうまくできるはず・・・

と思ったのに!

全然レジンが固まらなくて、失敗してしまいました。

おそらく、ケチャップの色を出すために
塗料を多く混ぜているので、
厚く塗ると光が届かず固まらなかったのだと思います。

本当に少しずつ塗って固めていくべきでしたが、
調子に乗って一度に塗ってしまったのでダメでした。
人生の失敗の原因はだいたい調子に乗ったことだと
知っているのに、知っててもやっちゃうんだよなー。

 cafeMenu05-20.jpg

まぁなんとかかんとか固めましたが、
意図した形にはなりませんでした。

中まで固まっていないでしょうから、
またいつしかピランとなる可能性もありますね。
3ヶ月ほど経った時に、確認してみようと思います。

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  テーマ:こんなの作りました♪ ジャンル:趣味・実用
純喫茶メニューの会(9) いろんなサンドウィッチ
2022年02月02日 (水) | 編集 |
パンが準備できたので、具材を挟んでいきます。

 cafeMenu05-12.jpg

これは、あらかじめ作った具材とは別に
作りながら挟んでいったたまごフィリングです。
もうちょい黄色っぽくしてもよかったかなぁ。

 cafeMenu05-13.jpg

その他の具材も次々挟んで、できあがり。
ハム・キュウリ・たまごのミックスサンドと、
フルーツサンドです。

 cafeMenu05-14.jpg

サイズを測りながら作ったわりに
大きさが不揃いになってしまったな……。

全6回のこのキットのラインナップを見た時、
「サンドイッチは2番目くらいかな」
と思っていました。
実際に届いたのは終盤の5回目だったわけですが、
作ってみると納得の難易度でした。
なかなか、思ったような仕上がりになりません。
全然想像と違いました。

 cafeMenu05-15.jpg

どこか不自然な理由を考えてみたのですが、
たとえばハムやキュウリを挟んだところは、
端まで具材がないのでパンと具材が
アルファベットの「H」みたいになってますよね。
端のパンの間に隙間ができてます。

これ作った日に買い物に行ったスーパーで
サンドイッチを観察したのですが、
実物のサンドイッチは端が「A」みたいに
閉じていました。明確な隙間はなかったんです。

キュウリみたいな固さのある具材の場合、
接するところのパンの方が凹んで、
端と端は自然とくっついている感じ。

粘土のサンドイッチは、パンも具材も
それぞれガッチリ乾燥させて
かちかちになった状態で組み立てたので
パンもまっすぐなのですが、
ひょっとしたらパンは乾ききらない状態で
具材を挟んだら、より自然なのかなぁ。
パンがナナメになったりして
逆にダメかもしれませんが。
また作ることがあったら試してみたいなと思いました。

では最後に、アレンジメニュー。

 cafeMenu05-16.jpg

トロとクロのサンドイッチセットです。

トロの方は真っ白いクリームたっぷりのイチゴサンド。
クロのは全粒粉のパンで挟んだツナマヨにしました。

イチゴの挟み方をどうしようか迷ったのですが、
頭のてっぺんのところは垂直に入れてみました。

 cafeMenu05-17.jpg

フルーツのサンドイッチは最近流行っているみたいですね。
以前、近くの道の駅にすごい行列ができていて
フルーツサンドの専門店だったことがあります。
期間限定で出店していた人気店だったみたい。

色が華やかで、全体的な厚みが何ともゴージャスで、
たしかに幸せな気分を感じられるメニューですね。

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